【特別対談】これからの持続可能なキャリア開発と組織開発-自律型人材&組織に不可欠な3つの力-

プロフィール

株式会社タバネル
代表取締役 奥田和広 氏
1975年大阪生まれ 一橋大学卒業
上場ファッションメーカー、化粧品メーカー、コンサルティング企業などで勤務。取締役として最大170人の組織マネジメントに携わる。自らのマネジメント経験とコンサルティング経験を経て、成長企業の共通項OKRに出会い、株式会社タバネルを設立。
著書「本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR」

自立型人材に必要な3つの力

奥田様
奥田様

私はチーム、組織のマネジメントやOKRを専門にしているのですが、チーム力を上げるためには個人の活躍が欠かせません。そういった中で、キャリア開発は重要なポイントになっています。
最近のキャリア開発の動向について教えていただけますでしょうか。

内藤
内藤

コロナ禍などVUCAと言われる先の読めない不確実な時代の中で、自律型の人材がますます注目を浴びています。

奥田様
奥田様

たしかに自律的な人材を増やしたいニーズは増えていますね。内藤さんの考える自律的な人材とはどんな人ですか?

 

内藤
内藤

 私が考える自律型人材の大切な要素は以下の3つです。

①価値を生み出す主体的なコミュニケーションができる
②モチベーションを高く維持できる
③目標を達成する力がある

これらの能力を発揮できている人が自律型の人材の共通の特徴だと思います。

①価値を生み出す主体的なコミュニケーション

奥田様
奥田様

主体性なことは大事ですが、同時に周りやチームで価値を築けないといけないですよね。自律的な人材を増やすために、どのようにキャリア開発を進めれば良いですか?

内藤
内藤

おっしゃる通りですね。
目標達成に関してはOKRの専門家である奥田さんに詳しく教えて頂きたところです。
私が専門的に関わらせて頂くことの多い①と②に関していうと
【①価値を生み出す主体的なコミュニケーションができる】に関して大切なことは、Win-Win-Winの視点と発想を持って共に価値を生み出していこうという姿勢を持つことが重要です。
自分だけ、自社だけが得をしようという発想ではなく、共に価値を生み出していくパートナーシップを築いていけるコミュニケーション力が大切だと思います。
自律型の人材には、相手の力やメリットを引き出すかかわりができる優しさやゆとりのようなものが共通してあるように感じます。
そのことを支えているのが自己理解、他者理解、相互理解の深さです。
特に自己理解がしっかりできているという印象で、自分自身の資質、得手不得手、考え方のクセなどを自分に関する情報が整理できていてメタ認知(自分自身を客観的に捉える)力が高いです。
自分についてできることやできないことなど情報が整理されているので、自分の個性と他者の個性を組み合わせて、新たな価値を創出する発想や行動ができると思います。

奥田様
奥田様

メタ認知を促進するために、内藤さんが大切にしていることはありますか?

内藤
内藤

まず自分の行動パターンや志向、キャリアの振り返りをして、自己理解を常にアップデートすることです。そのための一つの方法としてはじめはアセスメントのツールなどを適切に使うことは自分自身の情報整理において効率的で有効だと思います。

奥田様
奥田様

振り返りは大切ですよね。ついつい反省しがちですが、反省だけではなくしっかり自分に素直に向き合うことが必要ですよね。

内藤
内藤

その通りですね。マイナス面だけでなくプラス面もとらえることは大切です。
さらにもう一歩進めると自分で主観的に良い、悪いを判断せずに、客観的に事実ベースでとらえると新たな気付きや発見に繋がります。
リフレーミングといって捉え方を変えることで、別の視点を持たせるものです。
自分一人では従来の捉え方のくせに引っ張られがちになりますので、誰かといっしょに振り返りなどができればより自己理解やメタ認知が進みます。

奥田様
奥田様

メンバーがそれぞれ自分にちゃんと向き合っているチームは強いですよね。

内藤
内藤

そうなんです。SDGsなど世界的に持続可能性が注目されていますが、日本最古の木造建築である法隆寺はなぜ1300年以上続いているのかご存じですか?
宮大工さんの知恵で材料となる木の本来の癖(個性)を活かして建てられています。
同じひのきの木の木材でも山の北側に生えていた木は寺の北側に、山の南側の木は寺の南側に使われているんです。
塔組は木組み
木組みは木のくせ組み
人組みは人のくせ組み
人を組むには
人の心を組むべし
という宮大工の棟梁の言葉があるのですが、このように人材でもそれぞれの個性を認識して、最大限活かされる環境と組み合わせが大切なんだと思います。

奥田様
奥田様

その話は面白いですね。たしかにチーム力を高めるマネジメントでにおいても、個々の弱みではなく、強み、特性を活かすことが何より大切ですよね。どうしても弱みだけに目を向けてしまいがちですよね。

内藤
内藤

強み、特性を最大限活かしあうことは大切なんです。さらに自分の弱みを知ることで助け合いのコミュニケーションが生まれていきます。

奥田様
奥田様

まさに心理的安全性の高いチームになりますよね!
心理的安全性が高いと、個人もチームも学習が進むので、業績やイノベーションに繋がりますよね。

内藤
内藤

まさに、その通りですね。
共通の目的であるビジョンに向かって、それぞれの強み弱みを活かして学習することが大切です。できること、できないことを組み合わせて、新たな価値を生み出していきます。

②モチベーションを高く維持できる

奥田様
奥田様

自律的なキャリアについて、価値をともに創出していける人が大切とおっしゃっていました。ともに創出するためにビジョンがやはり大切ですよね。

内藤
内藤

ビジョンを作るためには、モチベーションの源泉となる個人の原体験や価値観が大切になります。それらを共有することで、大切な価値観の共通点が見つかることがよくあります。その共通点がそのチームや組織のビジョンになっていきます。また、他のメンバーの価値観に触れることで、新たな気づきや発見があり、メンバー同士でのビジョンが描かれます。
これが自律型人材の3つの大切な要素の【②モチベーションを高く維持できる力】と密接に繋がります。

奥田様
奥田様

そうすることで、共通の目的、ビジョンがチーム全員の自分事になるんですね。

内藤
内藤

そうなんです。ビジョンを自分事にするといえば、OKRは有効だと感じています。奥田さんはどうお考えですか?

奥田様
奥田様

はい。遠くの将来のビジョンを3か月後に達成したい目的に引き戻して自分事にすることがOKRでは可能になります。自分事になったチームOKRと個人OKRを全員が追いかけることで、遠くのビジョンにみんなで向かうチームになります。

内藤
内藤

チーム全員で追いかけるためには、ビジョンが設定されてお互いの強み弱みが分かっている状態になることが大切です。そうすると、自分が具体的にどのような場面、シーンで貢献できるかがイメージできるようになるんです。だから、自分事になるので、主体的にコミュニケーションが取れて、周りとWinーWinーWinが築けて、価値をともに創出していけるようになります。
自律型人材に大切な3つの要素の「③目標達成する力」について奥田さんはどうお考えでしょうか?

③目標達成する力(OKR)

奥田様
奥田様

はい、いくつかポイントがありますが、マネジメントが気をつけたい2つのポイントに絞ってお伝えしたいと思います。
一つ目は「心理的安全性」です。先ほど内藤さんから自己理解、他者理解、相互理解の大切さのお話がありましたが、まさにこの状態が進むと、「このチームなら大丈夫だ!」と思ったことを発言できる心理的安全性の高い状態になります。そうすると失敗を認めたり、不安なことを躊躇なく相談できるため、目標達成する力が高まります。

内藤
内藤

目標達成する上でも心理的安全性はやはり重要ですね。もう一つのポイントは何ですか?

奥田様
奥田様

二つ目は「自己効力感」です。言い換えれば、自分ならできるという自信をもっている状態です。そして自己効力感を高めるには、自らの「達成経験」、他人の成功体験を見る「代理体験」、周囲からの承認、励ましなどの「言語的説得」、最後に「生理的感情的高揚」があります。

内藤
内藤

自己効力感、自信の高い状態で目標に挑むと達成する力も上がりますね。マネジメントする立場の人は、どのようなことに取り組めば良いですか?

奥田様
奥田様

高頻度のコミュニケーションをチーム全体で行うことから始めてください。チームで目標に向かう振り返りの機会増やすことは自己効力感を高めることに非常に有効です。まず自分の達成経験に気づく機会が増えます、そしてチームの目標達進捗や達成度を共有することで、他人の成功体験を知ることもできます。マネージャーからはもちろんメンバー同士が承認、励まし合い、ときには相談をできるように促せば自然と言語的説得も進みます。

内藤
内藤

目標を達成するために、心理的安全と自己効力感を高めるコミュニケーションを取ることの重要性がよくわかりました。

今後多くの組織やチーム、また個人の方々が自律的に価値を共創されることを願うばかりです。

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